羽生結弦選手『喘息(ぜんそく)企画』なぜ炎上?|小児喘息で苦しんだ私が思うこと…

羽生結弦 2017-2018 フィギュアスケートシーズンカレンダー 卓上版

先日放送された24時間テレビで、フィギュアスケートの羽生結弦選手がテレビで初めて小児喘息を患っていることを告白しました。

放送の中で羽生結弦選手は、

時には発作で苦しい時もあるけれど、スケートが大好きだから頑張っています

というようなことを言っていて、同じように小児喘息に苦しんだ経験のある私は、「羽生選手はすごいなぁ」と感心していたのです。

でも、ネット上では、この羽生選手の喘息企画についての24時間テレビ公式ツイートの内容がひどいと、炎上していたそう。

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24時間テレビのツイートはなぜ炎上した?

問題になったツイートの内容はこちらになります。

この後は2歳の時に小児ぜん息と診断された羽生結弦選手が、病気を言い訳にせず世界のトップで戦い続ける思いをテレビで初告白。さらに、郷ひろみと氷上コラボ!全国の病気を抱える子供たちにエールを送る。
是非お見逃しなく! #24時間テレビ40

https://twitter.com/24hourTV/status/901406415331278848?ref_src=twsrc%5Etfw&ref_url=http%3A%2F%2Fnlab.itmedia.co.jp%2Fnl%2Farticles%2F1708%2F27%2Fnews018.html

一見、普通の番宣なのですが、このツイートの中の 「病気を言い訳にせず」という言葉が誤解を招いてしまったのです。

羽生結弦選手が病気を言い訳にせずスケートを頑張ったと言うのなら、喘息が原因で運動ができない状態の人は、「病気を言い訳にして」さぼっているのか、と。

「言い訳」というのは、本当は出来るけどやりたくない、という時に使われることが多い言葉です。

それだけに、確かに言葉の選び方が不適切だったのかも知れないと思いました。

背景には喘息への不理解が…

今回、24時間テレビのツイートがここまで炎上してしまった背景には、日本の中で、喘息について理解が進んでいない現状があるように思います。

本人の苦しさに対して、周囲の目が冷たいというか、「喘息なんて甘えなんじゃないの?」みたいな偏見を持つ人がいることで、つらい思いを経験した人がたくさんいて、だからこそ24時間テレビの「病気を言い訳にせず」という言葉に反応してしまったのではないかと感じるのです。

ひどい喘息だった頃

私は物心ついたころから小児喘息がひどく、何度も救急車で運ばれたり、入退院を繰り返した経験があります。

なかなか退院できなくて、「院内学級」という病院の中の学校に通っていた時期もあるくらい、ひどい時は数カ月に渡って入院生活を送りました。

今は、喘息のお薬ってすごく良いものが開発されていて、吸入薬で発作をコントロールすることが可能になったので、環境はすごく良くなりました。

でも私が子供の頃は、喘息の薬と言えば飲み薬が基本で、発作が出たら吸入薬を使っていました。

喘息のお薬は気管支を拡げる効果が必要になるため、副作用が強く、常に手足の先が震えたり、顔がむくんだりするのが普通でした。

心臓への負担も大きくて、喘息薬の副作用で命を落とす人や、副作用が怖くて薬をガマンして死んでしまう人もいました。

喘息の発作の怖い所は、さっきまで大丈夫だったのに、ちょっとしたきっかけで大きな発作が出て死にかけてしまう所です。

それはエアコンの風だったり、ホコリなどのアレルゲンだったり、誰かがつけている香水だったり。普通の人にとっては何も支障のないものですが、喘息の人にとっては命取りになるのです。

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喘息は死と隣り合わせの病気

昔、今のように良い薬が無かった頃、喘息は死と隣り合わせの病気でした。

発作がひどくなると、必死に吸おうとしても全く息が出来なくて、膝の上に置いた自分の手の爪がみるみる紫色にそまり、額から脂汗がぼたぼた落ちて、

死んでしまう!

と、本気で思いました。

唇をラップでふさがれたような感じで、苦しくて苦しくて頭はパニックになります。

喘息発作の恐怖は今も忘れられません。

でも、子供の頃の私がそこまで苦しんでいても、周囲からは事あるごとに「喘息は甘えだ」と言われました。

中学生の時、持久走を走る授業で、体育の女性教師が事情を聞き入れてくれませんでした。

「走れるから、走ってみて」

と、その女性教師は言いました。

まるで、「ズルは許さないよ」と言われているみたいでした。

みんなと一緒に走りはじめましたが、気がつくと体中血の気が引いた感じで、息が出来なくなっていました。

私はそれまで、学校で発作が出たらトイレで隠れて吸入薬を使っていましたが、その時はもう死んでしまうと思ったので、運動場で倒れ込んだままジャージのポケットから吸入器を出して、顔を伏せて薬を吸い込みました。

それでも、女性教師は無表情で私から目を逸らして、何一つ声をかけてくれませんでした。

本当は2回以上吸ってはいけない吸入薬を何度も何度も吸い込んで、心臓がバクバクしました。そのまましばらく意識が飛びました。

気がついたら授業時間が終わっていて、クラスメイトが私の周りに集まって声を掛けていました。

体育の女性教師はさっさと職員室に帰って行きました。

あの時あのまま死んでいたら、あの女性教師に復讐できたかも知れないと、いまだに悔しい気持ちを引き摺っています。

私にもそういう経験があるので、「病気を言い訳にせず」という言葉で腹を立てている人達の気持ちはすごくよく分かります。

たぶん、よほど思いやりのある人でない限りは、自分の経験の無いことに配慮できる人って少ないのではないでしょうか。

不妊治療やセクハラにも共通する

こういう、配慮の無い発言で傷付く人は、喘息患者にかぎらないですよね。

例えば、不妊治療をしているのに「そんなに無理して作らなくても良いでしょ?」と言われたり、セクハラで苦しんでいることを打ち明けたら「自分にも過失があるんじゃない?」と言われてしまったり。

他人の苦しさに目を向けようとせず、自分の意見を押し付けようとしてくる人は結構いるので、そういう小さな傷がどんどん蓄積されて、「炎上しやすい社会」になってしまっているのだと思います。

羽生結弦選手を見習う必要は無い

喘息の発作をコントロールしながら、フィギュアスケートで世界の頂点に立っている羽生結弦選手は立派です。

素晴らしい選手ですし、たとえ喘息でなくても、彼の努力は讃えられるべきものだと思います。

ただ、だからといって、羽生結弦選手を見習って喘息でも頑張りましょう!と言う必要はありません。

喘息は人それぞれ発作の原因に違いがありますし、生活環境によっても大きく左右される病気です。

なので今回の24時間テレビをきっかけに、「羽生選手も喘息で頑張ってるんだから」という考え方がされるようになるとしたら、それはすごく残念ですし、怖いことだと思います。

また、激しい運動をさせれば喘息がマシになるという考えが広まると、それも問題だと思います。

羽生選手はすごい。でも、みんなが出来ることじゃないからこそすごいのであって、安易に「喘息でもハードな運動は出来る」と考えられてしまうと本当に困ってしまいます。

喘息患者への理解が広がりますように…

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