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村上春樹 またもや「カキフライ」を語る

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福島県郡山市で28.29日に行なわれた文学イベントに、村上春樹さんがサプライズゲストとして出演されたそうです。

村上さんが出演することは事前に観客に知らされておらず、撮影や録音が禁止された中でイベントがおこなわれたのだとか。

偶然その場に居合わせた人達は、国内の公の場ではめったに話をしない村上春樹さんの「レアな講演会」に参加することができて、すごく幸せだったでしょうね。

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僕はカキフライの話をします

地元の高校生と交流するイベントで登壇した村上さんは、「僕はカキフライの話をします」と切り出した上で、小説を執筆するということは、カキフライを1人で食べることに似ていると話したそうです。

大好物のカキフライを食べると美味しいけれど、1人で食べるのは寂しい。

寂しいと美味しいは孤独と自由の関係のように永遠に循環しており、その行為は、自分の中にある言葉を1つ1つすくいあげて小説を執筆することに似ている(本当はもっとまわりくどい言い方ですが)、というような内容を語ったのだとか。

村上春樹さんがカキフライを好きだということは、ほとんどの村上ファンが知っていると思います。

しかし、それにしても1人カキフライと小説の執筆を結びつけるのは、高校生にとっては難解だったのじゃないでしょうか。

村上さんは若い世代に何かを伝えようとする時に、食べ物の名前をよく出しますよね。

「カリカリのドーナッツ」とか、「茹でたてのスパゲッティ」とか、そして、「カキフライ」とか…

「牡蠣フライの話」

寒い冬の夕暮れに僕はなじみのレストランに入って、ビール(サッポロ中瓶)と牡蠣フライを注文する。

という文章から始まる「牡蠣フライの話」は、「村上春樹雑文集」に収録された『自己とは何か(あるいはおいしい牡蠣フライの食べ方)』に出てくる小さな物語です。

この文章の中で、

「小説家とは世界中の牡蠣フライについて、どこまでも詳細に書き続ける人」

だと語り、

「就職試験で、原稿用紙4枚で自分自身の説明文を書けといわれて困った」

という読者の質問に対して、それなら牡蠣フライについて書けば良いのだとすすめ、その見本を示すように村上さんが「牡蠣フライについて」の物語を書いているのです。

自分を語るのが難しいなら、自分の好物の話をすれば良い。

そうした発想から、今回の郡山市の高校生と向かい合った時に「カキフライ」というワードが出てきたのかも知れませんね。

今日のお昼のニュースでは、「村上春樹さんが小説の執筆をカキフライに例えて…」なんて、大げさに言っていましたが、たぶん思いつきで話していたんじゃないでしょうか。

村上さんにかかれば、それがカキフライであろうが、キンモクセイであろうが、便座カバーであろうが、どんなお題であっても、その場で求められているであろう話をきちんと決められた時間内にまとめて語ることができると思います。

比喩表現は変わっても

以前は、村上春樹さんが小説の執筆について語る時は、井戸を掘るとか地下室に降りるとか、そういった言葉で表現されていました。

でも最近、それが「1人でカキフライを食べる」ことに比喩表現が変わっていったというのは、なんだかずいぶん楽観的な方向に変わってしまったんだなという気がしないでもないです。

彼はつねづね、「小説を書くというのは自分にとってすごく危険な行為なんだ」と語っていました。

それが、「美味しいけど寂しい、永遠に続く孤独と自由の関係」に転換していったとすれば、それは村上ファンとしては少し寂しさを感じないでも無いのですが。

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